原文:Japan: Then and Now (NYTimes.com)
Agence France-Presse(AFP通信)のPedro Ugarteとその編集チームが、昨年3月の震災の被災地を再訪する方法を検討していた時、その土地土地がどのように変わったかを描こうと思い至った。AFP通信のフォトグラファー達によって撮影された写真から約50枚を選び、日本のフォトグラファー山中徹氏に、世界の記憶に焼き付けられたその場所と人々を訪れ、もう一度撮影することはできないかと相談した。
印象的な一枚は、がれきの山から芽吹いた桜の木の写真。4月20日、チバヤスヨシ氏が岩手県釜石市で撮影したもので、World Press Photoの “people in the news”部門で最優秀に選ばれた。
もうひとつの印象的な写真は、読売新聞記者によって撮影されたスギモトヨウコさんのポートレイトだ。ブランケットに身を包み、がれきの中で息子を探す小柄な女性。津波が、彼らの住む石巻市を襲った。
「これは、大変象徴的な一枚です」とAFP通信フォトディレクターUgarte氏は言った。
「人々は、これがこの話の結末だと思うかもしれない、もし追跡して続報することをしなかったとしたら」。スギモトさんの写真について、Ugarte氏はそう話した。「しかし、もう一度その場所に立つ彼女を見た時、満面の笑みというわけではないけれど、息子の隣に立っている。この話があのまま終わってしまったのではないと知るんだ」。
これらの写真は、NYTimes.comで「Japan then and now」として紹介された。ロイターとAP通信も類似のプロジェクトを進めている。
山中氏はスギモトさんについて、「本当に普通の奥さんです」と話した。彼の写真の中で、彼女は息子の手を握り締めている。すきっぱの幼稚園児は、チェックのパンツを身に着けて得意げなポーズをとっている。
どの土地でも、人々は率先して、「その後」の写真をとるべき場所を探す山中氏を支えた。津波が堤防を超え町へ流れ込んでくる様子をとらえた、忘れられない宮古市の写真。そこでは、ホテルスタッフが山中氏に市役所のベランダに上るようアドバイスした。あの津波の写真が撮影されたのがその場所だった。
山中氏は、撮影に約10日間を費やした。パソコンと、AFP通信のPhilippe Lopez、Mike Clarke、Kim Jae-Hwan、Nicolas Asfouri、Toshifumi Kitamuraを始めとするフォトグラファー達によって撮影された写真を携えて。AFP通信は、予算の制約上、ひとりの写真家しか選ぶことが出来なかった。山中氏は、取り終えた写真をパソコンに転送し、元写真との比較を始めた。
山中氏は53歳、川崎市で生まれ、今もそこで暮らしている。1986年、AFP通信のスタッフフォトグラファーとして活動を開始した。
「言葉にすることが出来ません」と、自国にもたらされた犠牲について語る。
岩手県陸前高田市で、彼は、ほとんどのビルが消滅した中で残った4~5階建てのスーパーマーケットの写真を撮った。
「この町は、本当に世界から姿を消してしまった」。山中氏は言った。